「キィィーーンコォォーーン・・・カァァーーンコォォーーン───」
4時間目の授業が終わる鐘が鳴った。
これからあの腐女子二人に追われるのかと思うと気が滅入ってくる。
それでも俺は自分の安息の時間を得るためには逃げなければいけない・・・。
七夜の血にかけて!!!
とかカッコいいこと言っていても結局頭の中じゃぁ・・・。
『ニゲロニゲロ〜♪ ドアヲアケロ〜♪』
なんだけどね・・・。
「さてっと、さっさと安全な場所へ行かないと貴重な時間がもったいない。何処へいくか・・・」
教室のドアをあけて左右の確認をしておく、別に不注意事故の予防のためではない。
腐女子とのエンカウントに備えてバックアタック状態になられると厄介なので付近の安全を確かめているだけだ。
「昼飯は既に買ってあるから後は場所だけだ・・・選択を誤れば命は無いかもしれない・・・」
教室・・・う〜ん、一番最初に着そうなのがここの予感がする。
屋上・・・定番過ぎて駄目。
中庭・・・ここも駄目・・・。
ジーザス・・・全部駄目じゃないか・・・。結局学校の中には安息の場所は無いのか!?
頭を抱えて悩んでいると背後からポンポンと俺の肩を軽く叩かれた。
もう捕まったのか・・・。
愕然とした表情でゆっくりと後ろを振り返ってみると───。
「遠野君、よかったらお昼ご飯一緒に食べない?」
「弓塚さんじゃないか」
なんとまぁ全く予想してなかった人物から声をかけられた。
これはもしかするとチャンスだろうか、彼女と一緒に何処かで昼食をとれば何かのフラグが立って腐女子二人組みから逃げられるって言う王道パターン!?
それに弓塚さんなら安心できるかもしれないし。
「うん、良いよ。丁度何処で食べようか悩んでいたんだ」
「わぁ・・・それじゃぁ会議室で食べない?誰も来ないと思うしゆっくり食べられるよ!」
なるほど・・・会議室は思いつかなかったな。さすが弓塚さん頭がさえている。
「それじゃいこっか」
なにやら背後から「さつき〜おしたおせ〜」やら「今を逃がすんじゃないよ〜」など変な言葉が飛んできているような気もするが特に気にしなくて良いだろう。
教室から廊下へ出るとなにやら階段の方から───。
「志貴ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
アルクの声が2年生のフロアーに響き渡っている。
「やばい、向こうは危険だ。弓塚さんこっち!」
俺は咄嗟に彼女の手を握り、少し遠回りではあるが会議室までを走る事となった。
逃避行をしている最中、背後から
「わぁ・・・遠野君の手って───」
とか細い声で最後まで聞き取れないような言葉が聞こえてくる。
回りの生徒達から色んな目で見られたりもしていたが、とりあえず会議室の中へ飛び込む。
「ガララ!───ピシャッ!」
ミッションコンプリーット!
「はぁぁはぁぁ・・・ごめん疲れたろ?」
「ううん!そんなことないよ!遠野君と一緒にいられたし〜───」
なんだろう最後のほうは良く聞こえなかった。
「よし、さっそく昼飯食べよう」
「うん!」
とりあえず、適当なところ・・・っても会議室に良くある長方形型のテーブルの前に並べられているパイプ椅子しかないのだが
俺達はそこに腰をかけて短距離走後の昼食を摂る事にした。
「ねぇねぇ遠野君───。卵焼き食べる?」
と、弁当箱の中身を見せてお箸で卵焼きをひょいと持ち上げてこちらに伺う弓塚さん。
「えっ?良いの?」
「うん・・・たくさん作って来たから少し多くなっちゃってぇ───」
それならば断る理由は無いと俺内部で承諾し二つ返事でOKを出す。
するとどうだろう、弓塚さんは俺にその卵焼きを掴んだ箸を俺の顔の高さまで持ってくるではないか。
「はい あぁ〜〜ん───」
こっぱずかしい・・・が、折角彼女がくれると言って俺に渡してくれようとしているんだ。
無下にはできん!
差し出されている卵焼きを口に含む俺。その味はほんのりと砂糖の味が卵焼きの旨味を引き出しているのがわかる。
「うん、おいしいよ」
素直に感想を漏らし、手にもっていた学食のパンにかじりつく俺。
すると弓塚さん、こんどはタコさんウィンナーを俺の方へ持ってきているじゃないか。
つまりこれも食えと。えぇ頂きますとも。
「むぐ・・・う〜ん美味しい」
やはりお弁当っていうのは女性が作ったものが可愛くて口に入れた後も美味しく感じる。
お弁当にかぎらず料理全般そうなのだろうが。特に弓塚さんは家庭的に見えるからそう感じてしまう。
「あぁ、もらってばかりで悪いなぁ・・・何かせめてお礼したいところなんだけど生憎学食のパンしかないしなぁ───」
「ううん、いいよそんなの別に〜。私こそ余り物みたいなのを押し付けてるみたいで」
と言いながらもぐもぐとお弁当を食べ出す弓塚さん、ってその箸さっき俺が口つけたやつじゃぁ・・・。
いやいや、俺がこんな邪な考えをもってどうする。折角彼女が好意で俺にくれた物にたいして失礼じゃないか。
とりあえず気まずいながらも適当にパンを食べていく俺。
休み時間も後20分ぐらいか・・・何か適当に時間潰すかなっ?
と弓塚さんの方へ振り向いた時・・・。
「ぶっ!?」
「ど、どうしたの遠野君?」
彼女は気づいていないのだろうがなんか窓の向こうの大きな木に誰かが乗っかっている。
っていうかこっちを見ている。
あ、何か棒状の物を取り出したぞ?見覚えあるぞ?
血の気が引いてくる。やばい、超絶的にヤバイ。
腐女子の片割れカレー戦士がお怒りですよぉぉぉぉぉぉぉ!?
「ごめん、弓塚さん。急用思い出したから先に帰るね!」
棒状の物・・・多分黒鍵だとは思う物が回りに被害を与えない為にも俺はこの場を早々に引き去る事にした。
すこし取り残されたような感じの彼女の目が俺の良心を痛めたが彼女が血まみれの惨事になってしまうのを思えば俺はあえて嫌われよう!
「計画第一段階クリア───」
すたこらさっさと会議室から外に出た俺は背中からなにやら聞こえたような気がした。
とりあえず、今はこの場から離れる事を考えなければ!
そして俺は被害を受けるなら自分ひとりで受けたほうが良いと判断し屋上への階段を駆け上がった。
「ギィ!───バタン!」
「驚いた、志貴早かったわね」
って、なんで目の前にアルクが!
「あんまり気乗りしなかったんだけどさ、シエルと組んだのよ。まぁ?志貴をあんな何処の小娘かわからないような奴にくれてやるよりかはマシだと思ったからさ」
シレッと言ってくれるアルク。
「貴方にしてはいい判断ですねアルクェイド───。まぁでもこれから第二戦が始まるわけですが」
校庭のでかい木からどうやったら屋上の水タンクの上に移動できるのか知らないが何時の間にか俺は
まんまと心の準備をする事すらできない状況に陥っていたようだ。
「さて・・・私と言うものがありながら弓塚さんなんていう女性にホイホイ着いていった遠野君にはおしおきが必要ですね〜」
あの・・・黒鍵ぶらぶらさせながらそんな事言わないでください。
「そうね・・・私も伊達に800年生きてきたわけじゃないんだよ。私だって身の毛のよだった拷問とかあったしね」
アルクさん・・・目がマジになっちゃってます。
「とりあえず、最初のおしおきは恒例のモノとしましょう」
なんか先輩の顔が劇画チックになってるんですが。って気づけばアルクも劇画チックに───。
「お約束って感じがするけど・・・もしかしてオラオラですか?」
「「YESYESYES───」」
「ヒ、ヒィィィィ───」
最後の力を振り絞って悲鳴を上げようとしたのだが時既に遅し。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
先輩の身体からオーラが立ち込めている。あんた何時からそんな力が使えるようになったんだよ・・・。
俺はまだ意識を失っては居ないがほとんどサンドバック状態だ。
背後から殺気を感じる・・・この場に居るのはアルクしかあるまい。
「オマケもつくよ〜」
キャラメルだったら嬉しいな〜僕〜。
「無駄ぁ無駄無駄無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!!」
あぁ・・・おまけって言うか本命じゃん・・・。
遠野志貴の意識はここで途切れた───。
後書き
ちょっぴり長くなりました・・・(ォィ
まぁありきたりなオチって言う事で。
志貴君がオチました^−^;
ここで少しLIQの第二話を制作する為に月姫SSはSTOPかも
しれませぬ。
ではでは。
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